#04 特別編 トップインタビュー opsolグループ代表取締役社長 鈴木征浩

新たな会社の顔として

代表取締役社長に就任し、ますます責任が重くなったことを実感しています。
創業者の手により、弊社グループが十数年前に事業を始めたころは、日常生活の場で「パリアティブケア」という言葉を聞くことはまずなかったと思います。現在も一般生活の場にまで浸透しているとは言い難く、医療や介護に携わるプロフェッショナル職の方でも知らない場合があるというのが現状です。
弊社は『パリアティブケアホーム』の存在とともに、「パリアティブケア」という考え方自体を、もっともっと多くの方々に知っていただきたいと願っていますが、言葉だけではなく、その中身も拡散していくためには、パリアティブケアホームを名乗る我々が、提供する看護や介護の質をさらに高め、充実させていくことが大切です。同時に、看護職員や介護職員が現場で提供してくれている看護サービスや介護サービスの中身や、その社会的な意義を、会社の顔として、今まで以上に、強い覚悟を持って、積極的に、世間に向けて発信していかなければならないと考えています。
これまで、愛知県で2か所、大阪府で2か所、運営させていただいてきたパリアティブケアホームですが、本年10月1日、大阪府岸和田市に新たに1か所を開設させていただき、合計5か所となりました。弊社が掲げているコンセプトに対するニーズは強く感じており、今後もそれらのニーズに応えさせていただくことで、会社としてさらに成長できるであろうと感じています。
しかし、創業から十数年という意味では、私たちはまだまだ若い会社であるとも言えます。経営を引き継ぐにあたって、若さゆえの弱点である、組織としての未熟さとしっかりと向き合い、組織力の強化や業務基盤の整備もしていきたいと思っています。発信すべきこと、整備構築すべきことなど、たくさんの課題を前に、身が引き締まる思いです。

充実した医療対応へのニーズ

パリアティブケアホームを運営して、8年近く経ちます。医療依存度の高い方を受け入れるには、社内や施設の体制を整えることが前提となります。多くの看護職員や介護職員を配置するために、それらの専門職スタッフを安定して採用するハードルの高さや、重い病気の方をケアすることの難しさも当然あり、決意が必要でした。
それまでの弊社運営事業所では、医療依存度が高くなく、平均要介護度も2程度の方々を中心に受け入れさせていただいていました。看護職員の数も今と比べるとはるかに少なく、重い病気のため充実した医療対応が必要で困っている方がいても、受け入れることが困難でした。しかし、お看取りやターミナル対応も含めて、充実した医療対応が可能な高齢者住宅に対するご要望をお聞きすることも多く、間違いなくパリアティブケアホームのニーズはあると実感していました。
責任の重さに悩むことはありましたが、ここで思い切って舵を切ったほうが社会貢献でき、企業としても存続できると考え決断しました。今後も高齢社会が進み、高齢者の数も割合もさらに増えていくため、パリアティブケアホームに対するニーズは、さらに高まるでしょう。
同時に、社名も変更いたしました。グループ統一の社名である「opsol」(オプソル)は、「optimal solution」(オプティマル・ソリューション)を略記したもので、日本語で「最適解」を表します。
グループとして医療・介護・福祉及びその周辺事業等に取り組んで行くにあたり、常に最適解を追求しながら、ご入居者様・ご利用者様・ご家族様・ご関係者様に接していくことを公約とし、その決意を職員の皆さんと共有するため、社名としました。株式会社opsolを筆頭とし、訪問看護を中心とした医療色の強い会社には「Medical」のMを、介護に注力している会社には「Care」のCを、それぞれ冠しました。

要看護期が幸せな場所

パリアティブケアは、ご入居者様ご本人だけのためのケアではありません。ご家族様やご関係者様の負担を減らすことも目的にしており、パリアティブケアホームのキャッチコピーは、『要看護期を過ごすご本人の苦痛を緩和したい。要看護期を支えるご家族の苦悩を解消したい。』としています。さらに、パリアティブケアホームを一言で表すとするなら、「要看護期が幸せな場所」でしょうか。
そのためには、受け入れさせていただける人数やエリアを拡大することは、弊社にとって重要なテーマのひとつ。そこで、10月1日には、サービス付き高齢者向け住宅『パリアティブケアホームほしの岸和田」をオープンしました。今後も、自分たちで責任の持てる範囲で、拠点や受け入れ可能数を増やしていきたいと考えています。
そして、弊社のパリアティブケアを実現可能にするのが職員の力です。私どもの仕事は、看護サービスや介護サービスをご入居者様に提供させていただくことから、すべてが始まります。全職員が365日24時間、ご利用者様のケアにあたってくれていることで、私たちの事業が成り立っているのです。全職員が日々真摯にケアに取り組んでくれるおかげで、ご入居者様・ご利用者様やご家族様、ご関係者様から、「パリアティブケアホームに入ってよかった」というお言葉をたくさん頂いています。そういったお言葉を頂けるようなサービスを提供できたことを嬉しく思いますし、ニーズにお応えできている喜びも感じられます。このような時世で、福祉や医療の現場ともに感染リスクの高さなどから、事業や仕事を辞められるという方もいらっしゃる中、最前線で勤務してくれる全職員に敬意を表します。
たくさんの方に「パリアティブケアホームでは良い毎日が過ごせるみたいだよ」と知っていただけるように、高い志を持ったチームとして、一致団結して前に進んでいきたいと思います。

for staff

本を読んだり、書店に行ったり、本を眺めたり、と、本に関する全般が好きです。福祉や医療関係の専門の本も読むので、それらは仕事にも直接的に繋がっていると思います。しかし、例えば推理小説など娯楽として読むものでも、そこから得た知識や知恵は、もしかしたら仕事に繋がっていることもあるかもしれません。文学作品の中に出てきた人間の感情や関係も、ふとしたときに思い出し、こうしてみようかなと自分の行動に影響を与えることもあります。
どんなジャンルであったとしても、本に親しむことは、デメリットよりもメリットの方が遙かに多いと断言できます! みなさんにもぜひ、読書を楽しんでもらいたいと思います。

Yukihiro Suzuki

opsolグループ(株式会社opsol、株式会社M-opsol、株式会社C-opsol)専務取締役を経て、2021年10月1日より現職。