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2026.05.28

AIが進化しても、介護に「人」が必要な理由

はじめに

「AIが進化したら、将来介護職は必要なくなるのではないか」
そんな声を耳にすることがあります。
夜間の見守りはセンサーが担い、記録はタブレットで完結する。そんな介護現場が少しずつ広がっています。
国としても介護現場へのテクノロジー導入を推進しており、業務負担の軽減や介護サービスの質向上につなげる取り組みが進められています。
では、AIやICTが広がっていくこれからの時代、人にしかできない介護の役割はなくなってしまうのでしょうか。
今回は、介護現場にテクノロジーが広がる今だからこそ改めて考えたい、「人のチカラ」についてお伝えします。

目次
介護現場にも広がるAI・ICT
AI時代だからこそ高まる、介護職の価値
「なんかいつもと違う」に気づけるのは、人だから
不安な気持ちに寄り添えるのは、機械ではない
言葉にならない思いを感じ取る仕事
まとめ

 

介護現場にも広がるAI・ICT

AIとは「Artificial Intelligence:人工知能」の略称で、人の判断や学習を再現する技術のことです。
またICTとは、「Information and Communication Technology:情報通信技術」の略称で、情報共有やコミュニケーションを支える情報通信技術のことを指します。

近年では、介護現場でもAIやICTを活用したさまざまな介護テクノロジーの導入が進んでいます。
たとえば、見守りセンサーは、利用者の転倒や離床などを把握しやすくすることで、必要なタイミングで対応できる環境づくりに活用されています。
実際に、ご利用者様の状態変化に気付きやすくなるなど、現場の負担軽減にもつながっている場面もあります。(※1)
また、介護記録のICT化によって、利用者に関する録や申し送りをタブレット端末などで管理できるようになり、記録時間の短縮や情報共有の効率化も進んでいます。(※2)
さらに、介護ロボットの導入によって、移乗介助などの身体的負担軽減につながる取り組みも広がっています。
厚生労働省の事例では、マッスルスーツの導入によって、介護職員の身体的負担軽減だけでなく、仕事へのモチベーション向上にも一定の効果が見られています。(※3)
介護の仕事は、人を支える仕事である一方で、身体的にも時間的にも負担の大きい仕事です。
こうした負担を軽減するために、介護現場ではさまざまな介護テクノロジーの導入が進められています。
しかし、その役割は単なる業務効率化だけではありません。
負担が軽減されることで、ご利用者様と向き合う時間を確保しやすくなり、より丁寧な支援につなげることができます。
AIやICTは、「人の代わり」になるためではなく、「人にしかできない支援」に集中するための存在として、介護現場で活用され始めているのです。

参考:文部科学省「科学技術・イノベーション白書第1章第1節AIとは」より➚
参考:NTT docomo Business「ICTとは」より➚
(※1)参考:厚生労働省「介護現場で活用されるテクノロジー便覧」より➚
(※2)参考:厚生労働省「介護サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き」より➚
(※3)参考:厚生労働省「介護テクノロジー等のパッケージ導入モデル」P18、19より➚

 

AI時代だからこそ高まる、介護職の価値

AIやICTの技術が進歩すると、「介護の仕事も機械に置き換わっていくのではないか」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、介護という仕事は、単に作業をこなすだけの仕事ではありません。
そこには、ご利用者様の表情を見て、声の調子を聞き、言葉にならない思いを感じ取る関わりがあります。
機械やシステムでは支えきれない、人と人との関わり。
そこにこそ、介護職だからこそ担える大切な役割があるのではないでしょうか。

 

「なんかいつもと違う」に気づけるのは、人だから

「今日は少し元気がないな」
「いつもより食事が進んでないな」
「表情が少し硬い気がする」
など、小さな変化に気づくことは、日々ご利用者様と関わっているからこそです。
もちろん、AIやセンサーによって把握できる情報もあります。
しかし、数値などでは見えない違和感やいつもと違う雰囲気を感じ取る力は、人との関係性の中で育まれていくものです。
その小さな気づきが、体調変化の早期発見や安心できるケアにつながります。

 

不安な気持ちに寄り添えるのは、機械ではない

ご利用者様の中には、不安や孤独を抱えながら生活されている方もいます。
そんな時、そばで話を聞いたり、安心できる言葉をかけたりすることは、その人にとって大きな支えになります。
「大丈夫ですよ」
「いつでも呼んでくださいね」
その一言に安心される方もいます。
人の表情や声、ぬくもりによって生まれる安心感は、AIには簡単に置き換えられないものではありません。
不安な時に「誰かがそばにいてくれる」と感じられることも、介護における大切な仕事のひとつです。

 

言葉にならない思いを感じ取る仕事

人の思いは、必ずしも言葉だけで表現されるとは限りません。
「痛くないですよ」
「大丈夫ですから」
そう話される方もいます。
でも、ふとした瞬間に、言葉にしきれない辛さが滲むことがあります。
表情やしぐさ、会話のトーン、いつもとの違い。
そうした小さなサインから、その人が本当に望んでいることを考えることも、介護職に求められる大切な役割です。
介護の現場では、言葉にされない思いに向き合う場面が少なくありません。
だからこそ、ご利用者様をよく知り、その人らしさを大切にしながら関わる「人のチカラ」が必要なのです。

 

まとめ

AI や ICT といった介護テクノロジーは、これからさらに介護現場に広がっていくと考えられます。それは、介護職の仕事を奪うものではなく、負担を軽減し、ご利用者様と向き合う時間を生み出すための大切な手段です。
テクノロジーが進化しても、「あなたがいてくれてよかった」と思ってもらえる瞬間は、人にしか生み出せません。そしてその瞬間こそが、介護という仕事の本質ではないでしょうか。
この記事が、介護の仕事に興味を持つ方や、これから介護業界を目指す方にとって、介護の未来と人の役割を考えるきっかけになれば幸いです。