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2026.04.30

【コラム】ケアマネジャーの更新制度廃止とは?現場への影響と今後の課題

2026年4月3日、政府はケアマネジャーの更新制度廃止を含む介護保険法等の改正案を閣議決定しました。➚(※1)
今回の改正により、ケアマネジャーの資格は5年ごと更新しなければ失効してしまうものであったのが、一度取得すれば、資格が生涯有効となるという大きな変更が打ち出されました。
この改正案によるケアマネジャー更新制度の廃止は単なる「負担軽減策」ではなく、介護の質と人材確保のあり方を問い直す大きな転換点です。
本コラムでは、現場で働いているケアマネジャーの声とともにその背景や影響、そして今後の展望について考えていきます。

出典:(※1)厚生労働省 社会福祉法等の一部を改正する法律案
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/221.html➚
概要 https://www.mhlw.go.jp/content/001685800.pdf➚
法律案要網 https://www.mhlw.go.jp/content/001685801.pdf➚
※厚生労働省資料内「介護支援専門員の資格に係る更新制の廃止、研修の見直し等に関する事項」より

更新制度とは何だったのか

これまではケアマネジャー(介護支援専門員)は、一定期間ごとに更新研修を受講しなければ資格を維持できない仕組みになっていました。
この制度は、制度改正に伴う変化に対応し、ケアマネジャーとして専門性を維持・向上させることを目的として導入されたものです。
しかし実際には、「研修の負担が大きい」「現場を離れる時間が確保できない」「費用負担が重い」といった声が多く、特に人手不足が深刻な現場では大きな課題となっていました。

廃止(見直し)議論の背景

更新制度見直しの背景には、深刻な人材不足があります。厚生労働省の議論でも、ケアマネジャーの担い手減少が問題視されてきました。
主な理由は以下の通りです。
・業務量の多さ(書類作成・調整業務の増大)
・更新研修の負担(時間・費用)
これらが重なり、「資格を更新せず離職する」という選択が一定数見られるようになりました。結果として、制度そのものが人材確保の障壁になっているとの指摘が強まったのです。

更新制度廃止による効果と課題

更新制度が廃止されることで、更新研修の負担が減りケアマネジャーが現場にとどまりやすくなり人材の確保と離職率の低下が期待されます。
しかし、制度の廃止にはメリットだけでなく課題もあります。
更新研修は、専門性の向上や維持を目的としているため、廃止によってケアマネジメントの質にばらつきが生じる可能性があります。
今後は個々のケアマネジャーによる自己研鑽の機会が求められることが高まり、組織的なバックアップなど教育体制の整備が重要となるでしょう。

現場のケアマネジャーに実際に聞いてみた

パリアティブケアプランセンター茨木で勤務しているAさんに更新制度廃止について話を聞きました。

今回の変更はケアマネジャーとしてどうお考えでしょうか。

-Aさん
率直に言うと、費用面や業務負担の点では楽になったと思います。更新研修には時間や費用の負担があり、現場業務との両立が難しい場面も多くありました。
その意味では、今回の見直しによって負担が軽減される点は大きいと思います。
一方で、ケアマネジャーの人材確保につながるかについては疑問もあります。
たしかに更新研修が理由で離職するケースもあるとは思いますが、それ以上に業務量の多さや人間関係など、別の要因の影響も大きいと感じています。
また、更新制度がなくなることで、専門性の維持という点では課題もあると考えています。
これまでは研修が一つの学びの機会になっていましたが、今後は個々の意識によって知識やスキルに差が生まれる可能性があります。
ケアマネジャーはご利用者様の人生に深く関わる役割を担っています。
そのため、単にサービスを調整するだけでなく、より良い生活を一緒に考えていく視点が重要です。
ケアマネジャーの更新研修廃止は、資格や職種としての魅力を高め、人材減少の抑制につなげる狙いがあると考えられます。その一方で、国がケアマネジャーに対して、より主体的な学びや自立を求めている側面もあるのではないでしょうか。

更新研修の負担というのは今まで重かったでしょうか。

-Aさん 
一番の負担としては、時間的な制約でした。研修は所定の受講時間を満たす必要があり、条件を満たさない場合は無効となることもありました。また、移動時間や事前準備も必要で、実質的に1日拘束されることも多くありました。
費用面でも負担はあり、当社の場合は会社からの貸与制度があり、勤務扱いとしていただけましたが、事業所によっては自己負担や有給での参加となるケースもあるため、継続する上でのハードルになっていたと感じます。
そういう意味では、更新制度の廃止により、単独事業所のケアマネジャーと組織に所属するケアマネジャーの差を軽減できたようにも思います。

制度変更に対して不安はありますか。

-Aさん
やはりケアマネジャーの意識や取り組み方によって、ご利用者様に対してのサービスの質に大きな差が出る可能性は高くなると思います。ケアマネジャーの対応によってはご利用者様の人生を変えてしまうこともありますので、その影響は小さくありません。
介護保険法が発足してから早4半世紀、多様性や社会情勢の変化により、介護保険法や生活スタイルも大いに変化しています。今後は、与えられる研修だけでなく、研修や振り返りを通じて、ケアマネジャー自身が自ら知識や実践力を身に着けられるよう学び続ける姿勢がより求められるようになると感じています。

今後は国や会社などが組織や制度としてそれを支える仕組みづくりも重要になってくるのではないでしょうか。
もしかしたら、弁護士などの士業と同様に、ご利用者様やご家族様から選ばれるケアマネジャーであることが、より重要になっていくと考えられます。
その積み重ねが、結果として介護保険制度全体の質の維持にもつながっていくのではないでしょうか。

Aさん、お話しいただきありがとうございました。

まとめ

ケアマネジャー更新制度の廃止は、単なる制度変更ではなく、介護人材不足という課題への対応策のひとつです。
負担軽減というメリットがある一方で、専門職としての質をどう維持するかが新たな課題となります。
今後は、制度から現場主体へと軸足が移る中で、それぞれの事業所や個人が「学び続ける仕組み」をいかに構築できるかが、介護の質を左右する重要なポイントになっていくでしょう。