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2026.04.22

【コラム】増え続ける介護費用、問われる社会の支え方

はじめに

介護費用(介護保険制度を活用し使われる費用)は年々増え続けています。進む日本の高齢化に伴い、介護サービスの利用者は増加の一途をたどり、それに比例するように社会全体での負担も大きくなっています。
これによってこれまで当たり前とされてきた「社会全体で支える介護」という仕組みが、改めて問い直される時期に来ています。

保険料や税金によって成り立っている「介護保険制度」は、私たち一人ひとりの負担の上に成り立っています。
今後も増え続ける介護費用を、社会はどのように支えていくのでしょうか。今回は、その現状と今後のありかたについて考えていこうと思います。

【目次】
介護保険制度とは
なぜ介護費用は増え続けているのか
社会全体で取り組んでいる支え方とは
まとめ

 

介護保険制度とは

介護保険制度は、高齢者の介護を家族だけではなく、社会全体で支える仕組みとして設けられた制度です。
保険料は40歳以上の人が負担し、介護が必要と認定された場合は、デイサービスや訪問介護、介護施設の利用などのサービスが1割~3割程度の自己負担で利用することができます。残りの負担分は保険料や税金でまかなわれています。

詳しくは、過去のコラム「【コラム】介護保険ってなに?その目的と役割について」➚で触れていますので、そちらも併せてご覧ください。

 

なぜ介護費用は増え続けているのか

介護費用が増え続けている理由のひとつとしてまず考えられるのは、冒頭でも触れた通り「進む日本の高齢化」が挙げられます。
高齢化と介護費用は、とても密接な関係にあると言えます。年を取ると体の基礎代謝の低下から、転倒などのリスクや寝たきり、認知症など、介護を必要とする場合が増えていきます。核家族化が定着している現代社会では子どもが成長とともに独立し、親と離れて暮らすケースが一般的となっています。その結果、家には高齢となった夫婦のみ、あるいは一人で生活する場合が増えており、家族だけで介護を担うことが困難な場合も少なくありません。

このような背景から、訪問介護や通所サービス、さらには施設入所といった外部の介護サービスを利用する必要性が高まり、それに伴って介護費用の増加につながっていると考えられます。

このことは厚生労働省老健局が令和7年7月に発表した「介護保険制度の概要」からも伺い知ることができ、サービス利用者の増加は、介護保険制度創設時の149万人から24年経過の2024年4月末では529万人とおよそ3.6倍に増加しているとしています。(図1)

(図1)

(図1)出典:厚生労働省老健局 令和7年7月「介護保険制度の概要」より➚

 

社会全体で取り組んでいる支え方とは

介護費用の増加に対して、すでに保険料の上昇利用者負担の見直しなどによって社会全体での負担はすでに大きくなってきています。
特に介護保険制度における利用者負担の見直し(注1)は段階的に行われてきています。2015年には一定所得以上の利用者に対して2割負担が導入され、2018年にはさらに3割負担が導入されています。このまま高齢化が進んだ場合、制度を維持させるためにかかる社会への負担はさらに増していく可能性があります。制度の持続可能性について、議論が求められている状況です。

そんな中、厚生労働省では高齢者を社会全体で支える仕組みのひとつとして「地域包括ケアシステム」の構築に力を入れています。市町村が中心となり、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で生活ができるよう、医療や介護だけではなく生活支援なども含めて包括的に支えていく仕組みを目指し取り組んでいます。

主な取組内容
  • 医療・介護・予防・生活支援・住まいを一体的に提供
  • 地域包括支援センターによる高齢者の総合的な相談支援や、権利擁護(ここでは認知症や障害等で判断力が十分でない方の財産や尊厳を守り支援することを指します)
  • 家族介護者を自治体全体で支える取組み
  • 医療機関や介護事業者などの連携の強化  など。

上記にあるように、国は公的制度だけではなく、各地域自治体と民間も関わり、主体性を持って高齢者を支える体制づくりを推進しています。
まさに「社会全体で支える仕組み」を構築していると考えることができます。

(注1):介護保険制度における利用者負担の見直し
2015年施行「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」と2018年施行「介護保険法等の一部を改正する法律」に基づいて介護保険法が改正されたことによるものです。

参考:厚生労働省「地域包括ケアシステム」➚

 

まとめ

今回、増え続ける介護費用に関して見てきましたが、高齢化が進む我が国にとって介護費用の増加は今後も続いていく可能性が高いと推測できます。ゆえに制度だけに頼るのではなく社会全体としてどのように支えて行くのか、また国や行政は各地域との関係性と支援の在り方にどう向き合うのかをさらに深く考えなければならないと思います。

国としても「地域包括ケアシステム」を推し進めていますが、まだまだ不十分な点がたくさんあると思われます。
私たち一人ひとりが、今後の介護の在り方について関心を持ち、理解を深めていくことが今後の介護を支える重要な力になっていくでしょう。